◾️ クイーンはディスコの王様？

クイーンはディスコの王様？グループの熱烈なファンにとっては、ちょっとありえない話に聞こえますね。大規模なロックスペクタクルを演じる最も成功したバンドが、売り上げはともかく、はるかにスペースの小さいディスコフロアに目を向けるなんて。

しかし、クイーンのフレディ・マーキュリーは、少なくとも自分が書いている曲に関しては、その可能性もあると言います。

「ディスコナンバーを書いたことは一度もないし、やったこともない。でも、前回のアメリカツアー（1977年のクリスマスイブに終了）以来、ディスコミュージックにますます興味を持つようになった。突然、ディスコの曲を書いてみるのもいいと思ったんだ。本当にディスコミュージックが好きでさ。だから、次のアルバムに1曲か2曲はあるかもしれないね。」

フレディの音楽的影響は独特で常に変化しています。リストであげれば『キャバレー』にはじまりクラシック音楽、レッド・ツェッペリンから韓国のバイオリニストの作品まで、さまざまなタイプやスタイルが含まれまれています。そしてリストが完成したと思ったら、常に追加するものが増えていきます。それこそフレディの意図するものです。

「僕たちの強みは常に変化し続けることにある。僕らは型にはまらない。音楽業界じゃ、マンネリは死を意味する。誰もが変わらなければいけない時が来る。」

過去5年間グループを見守り、その音楽を聴いてきた人々は、彼らが確かに変化を信じていることを確信はずです。シングルを聴いてみれば （このバンドの場合、本当に氷山の一角だが）"Killer Queen"から"Seven Seas of Rhye"、"You're My Best Friend"、それに大ヒットした"Bohemian Rhapsody"まで、幅広い曲が演奏されているので、門外漢なら、それぞれ別のグループが演奏していると思っても不思議ではない。

ステージ上でも変化があり、ロックンロールとアコースティック セットがひとつらなりで演奏され、"Sheer Heart Attack" （ちなみにニュー ウェーブ ブーム以前にロジャーが書いた）のようなパンク ナンバーと壮大な"Prophet Song"が並列で演奏される。

「レコードを買う人の層も常に変わってて、どんどん幅広い層に広がっていってる。もうレコードを買うためにレコード店に行く必要はなくて、デパートや地元のスーパーマーケットでもほとんどのレコードが手に入る。クイーンは自分たちが思ってもみなかった方面で力をつけているんだ。」

テレビ広告や映画音楽も、レコード市場を数だけでなく、その側面から拡大させている。主婦、おばあちゃん、小さな子どもたち、そして重要な14～24歳のグループがレコードを購入している。そして、これらのグループは、まだ何も知らないか、1年中眠ていたのでなければ、ディスコ音楽を知っているはずだ。

「"We Will Rock You"は、まったく新しい分野を開拓してくれたし、とても刺激的だった。」

その刺激を受けて、フレディは次のアルバムの曲作りに取り組んでいます。今年の終わり頃にリリース予定です。その中ではディスコも意識される。

しかし彼はこう言います。

「意識的に特定のタイプの曲を書こうとは思わない。そうやると、うまくいかないんだ。同じように"Bohemian Rhapsody"も壮大な曲にしようと意識して書いたわけじゃない。自然にそうなったんだ！」

それは確かに大きな出来事でした。世界中で何百万枚も売れ、その年の最も成功したシングルであり、ラジオでのエアプレイに対する方針にもわかりやすく影響を及ぼした。DJ は 3 分を超えるシングルをラジオでかけることを嫌がっていました。しかし、Bo Rap (バンドの呼び名) は約 6 分で、それでもエアプレイに事欠きませんでした。他の長いシングルにも道を切り開いたのです。もしかすると、クイーンはミスター・マーキュリーの采配で史上初のディスコ叙事詩を生み出すかもしれません。それは誰にもわかりません。

1 つ確かなことがあります。フレディの作曲に対する姿勢は、ほとんどのディスコ ミュージックの「哲学」と完全に一致しています。

「僕たちの音楽は現実からの逃避であってほしい。メッセージソングは退屈だし、僕の曲にメッセージなんて絶対にない。僕の歌詞はすべてファンタジーだよ。誰かに何かを説教しようとはしていない。僕の曲はエンターテインメントとして、ただ聴いて楽しんでほしい。」

それに加えて、クイーンのドラマーであるロジャー・テイラーとベーシストのジョン・ディーコンの超絶的なスキル（良いディスコレコードに欠かせない二つの要素）、バンドのもう１人の主要な作曲者でリードギタリストであるブライアン・メイの卓越した才能、そして4人全員のボーカルを合わせれば、保証します。クイーンがディスコナンバーを作れば、それは絶対に素晴らしいものになるでしょう！

※アルバム『JAZZ』よりも前にディスコについて論じている非常に貴重なインタビューです。この時期にフレディがインタビューに応じていること自体が珍しいです。雑誌『DISCO FEVER』はこの号が創刊号であり、編集長はローズマリー・ホライド氏です。