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1975年4月26日号 Melody Maker インタビュー

 1975年2月5日から、アメリカでの初のヘッドライナーツアーを行ったクイーン。過密スケジュールの中、3月28日にとられた"Melody Maker"1975年4月26日号のインタビューを、神サイトQueen.caさんで拝見したので雑訳しました。

 前年のアメリカツアーではブライアンが倒れ、75年のツアーではフレディの喉にポリープができ何公演か中止になっています。

 過酷な状況の中でフレディが自らの言葉でめっちゃ真っ正面からお話ししています。これはかなり貴重なのでは!

ささ、本文です!

キラー・クイーンがアメリカを斬る !

カリフォルニア州ビバリーヒルズからスペシャルレポート

ービバリーヒルズでの昼下がり、フレディ・マーキュリーはヒルトン・ホテルの広々としたプールを眺めながら、クイーンの最新のアメリカツアーを振り返った。

「ツアーは順調に進んでいるよ。唯一問題になってるのは、僕の声の問題さ。でも、気をつけて休むようにしているし心配ないよ。問題なのはツアーを組むとき、コンサートのスケジュールを詰め過ぎてしまうことなんだ。そんな調子だから、ツアーはコンスタントなトレーニングみたいなものだよ。このツアーの最後には、ハワイで休むことになっているんだ。そこから日本、オーストラリアへと続くんだけどね。」

 

ー世界で最も人気のあるバンドの1つになった時期を考えると、クイーンのサクセスストーリーには驚くべきものがある。日本では最近、世界のトップ3バンドに選ばれたばかりだが、それはまだ東洋に足を踏み入れていないにも関わらずなのだ。フレディは彼らの熱狂的な支持を得ている理由は何だと考えているのでだろうか?

 

「正確には言えないけど、僕らの音楽には他の誰とも違う『何か』があるからだろう。 それが僕たちの大きな強みだと思ってる。でも、それ以外の要素もあって、タイミングが良かったこと以外にも、リスクを冒していっている事にもある。僕らはすべての段階をこなしていくようなグループではないんだ、いくつかのハードルはスキップして、僕たちが受け入れられるレベルにあるチャンスを享受しようとしているからね。今回のアメリカツアーはまさにその好例だよ。こういった大規模ツアーをやること自体は前例がないわけじゃないけど、リスクが伴うんだ。アメリカの経済状況や、ビッグネームが会場を埋めるのに苦労している話を聞かされていたからね。

 過去のツアーでは半分しか回れなかったのに、今ヘッドライナーを務めることについては、僕らはそれだけ自信を持っているし、ヘッドライナーでなければ意味がないと思っているからなんだ。 僕らはそれができることを証明した。L.A.での初ライブは2公演をソールドアウトにしたよ。最高の気分さ。この気持ちは、ツアーを通して更に大きくなっていくと思う。“Sheer Heart Attack”からのシングル“Killer Queen”でアメリカのレコードチャートに進出したばかりさ。」


ーこの曲の穏やかさと快活さは、最初の2枚のアルバムを特徴づける、高レベルのエネルギーとは全く対照的だ。3rdアルバムで初めてその多様性が明らかになったが、マーキュリーはそれを大きな変化だとは思っていないようだ。

「僕が嫌なのは、誰もが皆、ピンポイントで決めてかかってくることなんだ。『どうしてこんな歌詞を書いたのか、どんな意味があるのか』といった質問ばかり受けるんだ。そんなのばっかりだよ。イギリスのマスコミが何年も前からやろうとしてきたことの1つは、ピンポイントでカテゴライズすることなんだ。もううんざりだよ。

 僕らは"Keep Yourself Alive"をシングルとしてリリースしたけど、大概だったよ。その後のリリースは"Kill​​er Queen"になったけどね。奴らは近づいてきて最初にこう尋ねるんだ「君たちは何者だ?」これは僕らの音楽であって、それをどう解釈するかは個人の自由なんだ。ラベルを貼られるのは僕らのせいじゃないよ。何もかも並べて整理して、わかった顔をされるのはつまらないよ。聞く人がそれぞれで解釈するのがいいんだ。

 彼らはまた、僕のステージイメージもカテゴライズしようとしている。以前インタビューで『バイセクシャルを演じている』 と言ったのは覚えてるし、実際そうしているけど、単に気のむくままにしているだけなんだ。みんな僕がゲイかどうかを知りたがって聞いてきたりもするけれど、自分次第の問題だと返すよ。派手な自分でいて、楽しんでいるよ、僕は。」

ーマーキュリーはクイーンの音楽を分析することを好まないにもかかわらず、彼らの作品を端的に論じている。最初のLPは非常に生々しく、新鮮さに満ちていた。

「それは単純に僕らが長い間やってきたことの反映であって、僕らの体制から取り除きたかっただけなんだ。2枚目のアルバムで、僕たちの方程式が確立されていたとしても、それを維持する必要はないってことがわかった。そういうわけで、他のことにも手を出したんだ。"Sheer Heart Attack"は違ったものになった。自分たちにとってもリスナーにとっても面白いものにしたかった。両方の点で成功しているといいんだけどね。ステージに立つときだって、同じことさ。

 僕らは完璧主義者だ。全員が作曲をしているけど、作った曲が全てアルバムに収録されるとは限らないんだ。 メンバー全員が曲を書くことで、多様性が増して、それがもう一つの強みになっている。前作では、ある種の雰囲気を作りたいと思っていたし、それは実現できたよ。でも、やりたいことやアイディアがたくさんあって、まだ実行に移せていないものもある。

 1枚のアルバムに全てを詰め込むことできないんだ。多くのグループは、新しいアイデアがなくて結局燃え尽きてしまう。でも今の時点では、僕たちが燃え尽きるような事はありえない。実際、僕らはこれまで以上に強力になっているよ。

 僕らはロックンロールをやっていて、僕らのステージは音楽を伝えるための手段に過ぎないんだ。僕たちはアルバムとコンサートを、2つの違った仕事の領域として捉えている。スタジオではステージとは別の感覚がある。でも観客の前にいるとき、僕たちは自由なんだ。」

ーアメリカツアーの最後にあなたを捕まえましたが、イギリスの音楽市場とアメリカでは違いを感じていますか。

「イギリスでは一時はシングルの方が重要視されていたかもしれないけど、シングルとアルバムは互角にかなり競っているように感じる。シングルで勝負しすぎると、簡単にシングル派になってしまうよ。そうなったらアルバムに回帰することはほぼ不可能さ。シングルは新作を含めて4枚しかリリースしていないから、恵まれたポジションにいると思っている。バランスが取れているよね。アメリカでも同じことが言えると思うけれど、アルバムの反響に頼らざるを得なかった。商業レベルでの露出が増えたのは"Killer Queen"が出てからだね。

 イギリスでは、言動に細心の注意を払わなければならないんだ。実際に馬鹿げたことになるんだよ。イギリスではこのブラック&ホワイトのテーマがすごく強い。観客が僕に似た服を着て、似せてくるんだ。彼らはとても忠実で、すごいんだよ。今回のツアーのダラスでは、顔を半分づつ白黒に化粧しているファンもいて、そりゃあすごかったよ。」

ー音楽の好みについて、マーキュリが言うには

 

「ヘンドリックスからライザ・ミネリ、メイ・ウェストまで、あらゆる種類の音楽を聴いているよ。ラジオから流れてくるフロー&エディも好きだ。彼らは本当に多彩だね。ジョニ・ミッチェルも大好き、彼女のヴォーカルのフレージングと彼女の書く素晴らしい文章にはいつも感心させられるよ。彼女は本当に素晴らしい。」

 

ーこの数年クイーンの他に、バンドメンバーはラリー・ルレックスという面白い名前でシングルを録音したことがありましたね。このシングルはどのようにして生まれたのですか?

「あれは単なるオマケ(by-product)さ。僕らはファーストアルバムを完成させていたんだけど、プロデューサーの友人がこのレコードをやりたいと言ってきたんだ。彼は僕たちにやって欲しいと言ってたんだけど、僕たちの名前を使うことはできないと言ったんだ。実際、僕たち以外にもかなりの数のスタジオ・ミュージシャンが参加しているからね。ゲイリー・グリッターやアルヴィン・スターダストの時代だったのさ。本当にクイーンとは何の関係もなかったし、深く考えたこともなかったんだ。僕たちの知名度が上がってきて、人々がそれが僕たちであると気づいたのさ。興味を持たれたのはロックスターがたまたま他に手を出したからだろうね。結果にはすごく満足しているよ。」

ー今後のご予定は?

「うん、次のアルバムは、まだ構想中なんだけどね。たくさんの約束があって、それについて考えている時間がなかったんだ。曲のアイデアはいくつか持っているよ。他のバンドと違って、ツアー中に曲を書くことはできないんだ。今はツアーだね。ツアーに出ている時は、それがまず第一だ。帰ったら休んで、次のLPはその時になるはずだよ。その前に日本だね。すでにファンでいっぱいの国に足を踏み入れるのは信じられない気持ちだし、それに応えたいと思っているよ。」

ー翌夜のクイーンは、サンタモニカの市民会館で、売り切れの2回公演の観客を湧かせた。セットはオーケストレーションで幕を開け、堂々たる "Now I'm Here "が続き、流れを牽引した。ブライアン・メイの噛みつくようなギターソロがマーキュリーの力強いヴォーカルと絡みあい、ベーシストのジョン・ディーコンとドラマーのロジャー・テイラーが安定したリズムラインを打ち出した。

 ハイライトは "Keep Yourself Alive" "Tenement Funstar" "Father And Son" "Liar" "The Seven Seas Of Rhye"であったが、マーキュリーが華麗な"Killer Queen"を披露し、盛り上がりは最高潮となった。

 音楽が似て聞こえる場面があったにもかかわらず、 畳み掛けるテンポの盛り上がるセットで、バンドは2回のスタンディングオベーションをものにした。
 

***JUSTIN PIERCE & HARVEY KUBERNIK.  

"Melody Maker"1975 April 26 Issue

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