THE SUN 独白?!
上記の発言は公式語録『A Life, In His Own Words』からのもので、本人の発言であることは間違い無いのだけれど、いつ、どこに語ったものだかは定かではない。
この発言を踏まえて写真の1979年THE SUNの、かなり踏み込んだインタビューを読むと不思議な気持ちになる。
インタビュワーのニーナ・ミスコウとフレディの初対面は1976年。初回こそ非常に緊張感のある対面だったようだが、その後 回を重ね、信頼を得て、この1979年インタビュー、更には1981年南米帯同とお気に入りのジャーナリストとなる。
ニーナとの、このインタビューは、切り刻まれ、あちこちで見かけるものだが、せっかくなので紙面を訳してみました。
フレディ 化粧をはがす
フレディ・マーキュリーが化粧を落とした。ここ数年タイツで跳ねまわっていたクイーンの規格外なリードシンガーは、タフガイな風貌になった。
彼曰く「黒のマニキュア、シフォン、サテン、薄物、振り返ってみると『うわ、何しちゃったんだろう』って思うんだ。」
「前はステージでそれが必要だったし、そうすることで安心感もあった。でも今は違う。少し大人になったんだ。」
33歳の男が今更なにを抜かす、と思うのならマーキュリーと話す時に気をつけたほうがいい。彼は相手を怯ませるのだ。
「僕に会った人は心配になるみたいなんだ。」と彼は言う。「食べられちゃうって思うみたい。でも実は僕、すごくシャイなんだな。」
彼はあたたかで聡明で友好的だ。ーしかし舌鋒は鋭い。
「もちろん、無作法で気取ってもいる。」性悪な笑みを浮かべ「いけない?僕はシアトリカルだしドラマティックだよ。」
尊大
マーキュリーはどこに向かっているのか。彼は自らの性生活について思い切った告白をしようとはしていない。
「僕のバイセクシャルなステージイメージについては、好きなように捉えたらいいよ。」と彼は言う。「望む所だよ、不可解でありたい。」
彼はメアリーについて話した。彼が必要とした女性とは平凡な関係だったはずだが。
「ほとんどの人には理解できないよ。」と言う。「でも彼女は僕にとって世界で一番の存在なんだ。僕らは7年一緒に暮らして性的な関係にもあった。今は違うけれど。」
ケーキ
「今あるのは純粋な友情だけど、究極の友情だ。自然な流れだし、話し合ったわけじゃない。」
「僕らは数年前に別れた。ツアー中はあれこれ感化されるからね。付き合い続けるのも難しいんだ。」
「ケーキは食べたらなくなるってこと(※諺)。安定は欲しい、でも縛られたくはない。」
「メアリーには酷だったけど、受け入れてくれた、彼女は強いよ。」
「同棲は終えたけれど、彼女は数軒先に住んでいる。彼女は僕を気にかけ、僕は彼女を気にかけている。」
「結構、奇妙な関係だよ。他の人が入ってきてもこの関係は受け入れるしかない。」
「これは僕たちの間だけの話だし、解ってもらえなくて結構だよ。」
愛
清らかで華奢なメアリーは、かつてはBIBAのマネージャーだった。
マーキュリーは彼女を好奇の目からかくまい続けているが、彼曰く「彼女は美しい人間だよ。」
「今でも彼女が好きだけれど、愛ではない。僕たちはきっと一緒に歳を重ねていくし、彼女のいない人生なんて考えられない。」
「うん、結婚を考えていた時もあったんだ。ひょっとしたら、またそうなるかもしれない。でも彼女には彼女の人生があって、それは僕も同じだ。」
クイーンの他の3人 ー ドラムのロジャー・テイラー、ギターのブライアン・メイ、ベースのジョン・ディーコンと同じように、マーキュリーはニューシングル『Crazy Little Thing Called Love』(EMI)の成功に沸いている。このシングルはクイーンの新境地でチャート6位を記録した。
「お風呂で書いたんだ。」 と、マーキュリーは言う。「最高のアイディアはありえないような所で生まれるんだよ。湧き出すようにね!」
「僕は夜中に明かりもつけずに歌詞を書き殴ることでも知られてて、朝になったら解読しなきゃならないんだ。」
「セックスライフがぶち壊しだって? メアリーと一緒に暮らしていた時、実はベッド脇のアップライトピアノを壊しちゃったんだ。ひらめいた時には、ベッドから鍵盤に手が届くようになってたの。」
空想
「長くは続かないんだ。彼女は耐えられなかったよ。」
何だってやってのける彼は、レストランのテーブルに踊り、先ごろは日本でバナナの房をかぶってステージに立った。マーキュリーは近々始まるクイーンのイギリスツアーに何を用意しているのだろうか。
「うん、今はレザーが好きなんだよね。自分はブラックパンサーだって妄想するの。前もしてたけどね。」
「一体何を着りゃいいんだろう?」
心配ない、きっと何か思いつくのだから。
Nina Myskow, “Freddie peels off the paint”
THE SUN, 9 Nov. 1979 : p.9