拝啓 ローリング・ストーン誌様
この時代のバンドとメディアの攻防は、クイーンに限ったことではなく様々なバンドで勃発していたようだ。そこに注目したくなってしまうのは人情か野次馬か。
世相が見えるから!立ち位置がわかるから!などと苦しい言い訳を心の中で展開しつつ、今回は81年のローリング・ストーン誌 VS ロジャーをしらべてみました。
ちょっと長いですが、まずはことの発端になったのは
『Rolling Stone Magazine』June 11th, 1981 issue
ここにクイーンの南米での様子と4人のインタビューが掲載されました。
現在はRolling Stoneのサイトで全文公開されています。
https://www.rollingstone.com/music/music-news/queen-holds-court-in-south-america-2-114440/
記事はおよそ2万字。
かいつまんで紹介すると....
驚いた事にクイーン側がインタビューに同意し、何ヶ国かのジャーナリストがショーに招待された。
ジム・ビーチがベレスサーフィールドでのサウンドチェックに参加することを許可した。
スタジアムでサウンドチェックを見るが音響がひどい。反響で30秒もラグが生じているし、バンドはやる気が感じられないし、リズムセクションは杜撰。メイのギターはきまりきってて退屈。マーキュリーの歌には訴えるものがない。なんでこのバンドは人気があるんだ?
その晩のライブは警察と子供で溢れていた。バンドとオーディエンスのかけあいは一定の評価に値する。グループに欠けているものはライトや特殊効果のギミックで補完。まあよい感じだし、ショーはスペクタクルだ。
ロジャーは、低評価が目立つローリングストーン誌のアルバムレビューに対して「どのアルバムがいいだの悪いだのってなんだ?個人が決めることだろ」という。
フレディはたばこ(セーラム)をふかしながら対応「批判は恐れていないよ、だから君らといるってわけだ」と言う。フレディのインタビューだけで全体の半分ほどを占めるボリュームがさかれるが音楽面の話はほとんどせず45分の取材枠は終わる。「正直言って話すことなんてほとんどないよ。」フレディはオンもオフも華やかだが自堕落だと書かれる。
話はロジャーにもどりフェラーリの炎上事故に触れ、退廃的だとし、そこにロジャーの自虐的な「楽しんでいるよ」との旨の話を差し込む。
舞台裏でフレディとロジャーが騒ぎ回っている間、ジョンは大人しく妻と子供たちとの時間を過ごし、ビジネスを監督している。ジョンはフレディの対外的なイメージを「身内でも嫌がっている人はいるけど、どうしようもないよね。『住宅ローンて何?!』とかさ、ブライアンも嫌がっていたよ。」
ブライアンは大人しい性格で一人行動することが多い、ツアーに出ていない時はガーデニング好きで「朝1時にナメクジを探しに行くことで知られているよ」などと言う。「バランスを保つ必要があるんだ。」彼はまたファンのことも気にかけている。
全体的にビックイベントは成功したと言える。ある晩は13万人、次の晩は12万人の前で演奏した。以前のツアーに比べれば緩いが土地柄もあるのだろう。おそらく彼らは一生分稼いだ。
"Queen Holds Court in South America" June 11th, 1981 issue of Rolling Stone.概要
ニュアンスや詳細を読み違えているかもしれませんが、あらすじとしてはこんな雰囲気でした。
記事を書く視点がそもそも、そこ意地悪い。
さて、この記事をロジャーは読みました。
そして、猛然と『お礼』をしたためたロジャーさん。
そのお手紙がローリングストーン誌に記事として乗るわけです(号数不明)
記事を紹介してくださっているサイトを見つけたのでリンクします。
http://wnilsen.blogspot.com/2008/10/foreign-sand_4.html
お手紙の内容を訳してみました。こんな感じです。
Queen on 'Rolling Stone'
南米でのクイーンの"詳細な"お話し("Queen Holds Court in South America", RS 345)を読んで、驚愕し、衝撃をうけ、呆れて、寝込んでしまった。グループのメンバーとして、音楽(全部ではない)とその実績については超絶誇りに思っている。母に手紙を書くこともなくなった。というのも、電話が普及して、君らやナショナル・エンクワイアラーのような出版物がある今日では、文字の価値が下がったからね。
君らの1970年代にタイムスリップしたかのような異常な態度と、ロックンロールへの根本的な誤認には、困惑させられるしイライラさせられる。ありがとう。ずれちゃってるイカサマご高説を。本当にありがとう。時代遅れで独自路線の不誠実なボロ雑巾を。
あと、グループのサウンドチェックをつつき回して音楽的に評価してくれた事にも感謝しているよ!成長しろよ。ガセのハッタリ野郎。お気の毒だな。クソが。退屈な上にこっちまで汚れるわ。
約8ヶ月後に出す僕のアルバムの素敵なレビューをお待ち申し上げてます!
ロジャー・テイラー
ロンドン、英国
この手紙は航空会社の乗り物酔いの袋に書かれていました。-Ed.
....これはw
激おこな様子がビシビシ伝わってきます。
そして、なんといっても見逃せないのがゲロ袋に書かれていること。
刺激的!!!
蛇足ですが...。
Rolling Stone Magazine 345号に掲載された謎ポーズのバンドの写真。
Photo:Brian Griffin
写真家ブライアン・グリフィンさんの撮影によるもので、彼の写真集『POP』にも収められています。そのなかで撮影時の様子に触れられていました。
"ローリング・ストーン誌の取材で、ノッティング・ヒル・ゲートにあるクイーンのマネージメント・オフィスで撮影したものです。印象に残っているのは、フレディが私に「シャワーを浴びるから早くしてくれ」と言ったことくらいです。"
なにもかもが....うーむ、かみあっていないw