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フレディの右膝靭帯断裂

執筆者の写真: QUEEN NOTEQUEEN NOTE


痛々しい写真。


1984年9月22日、Works Tour ドイツ、ハノーバー公演。

フレディがステージで転倒し、セットリストを短縮し病院へ担ぎ込まれる出来事があった。


この怪我は、この日の転倒で負ったものではなく、もともと怪我をしていたためコントロールが効かず転倒している。


このポストではフレディの右足の受傷について、時系列でまとめてみます。

 

おおもとの怪我については、Udiscovermusicの記事で、ピーター"フィービー"フリーストーン氏が振り返っています。


「彼は2ヶ月間ギブスをしていた」

ピーター・フリーストーン曰く、フレディ・マーキュリーが外に出かける時は常に仲間たちと一緒だったという。1984年のある晩、いつものようにミュンヘンの夜に繰り出した彼は、ある災難に巻き込まれていたことを彼は回想する。

「その夜、彼はバーにいて、たまにやっていたことですが、その場にいた誰かを“お姫様だっこ”しようとしていたんです。彼は背が高かったわけでも、鍛えていたわけでもなかったのですが、彼のことをひ弱だと思っている人々に、実はそうじゃないというのを見せつけるためにそんなことをしていました。僕たちもそのバーにいたのですが、彼がその誰かを地面から持ち上げようとした瞬間、別の誰かがフレディにぶつかってきて、一気に体重がかかってしまい、彼の膝がねじれてしまったんです。結果、膝の靭帯を切って、足首からももにかけてギブスをしなければなりませんでした」

『マネージャーが明かすフレディ・マーキュリーのソロ作『Mr. Bad Guy』制作秘話とミュンヘンでの生活』
https://www.udiscovermusic.jp/stories/freddie-mercury-munich-phoebe-interview 

記事にあるミュンヘンのニューヨーククラブで起きた、右膝靭帯断裂事件。


もろもろの時系列を整理していくと、1984年5月12日〜22日の間の出来事のようだ。


この時期のフレディは、ミュンヘンでマックと共に、後に『Mr. Bad Guy』としてまとまる一連の楽曲の制作に勤しんでいた。


5月1日にはWorks Tourのヨーロッパツアーの日程が発表され

5月12日にはゴールデンローズフェスティバル出演、その後に起こった災難だった。


この怪我をレイノルド・マックは次のように回想している。


(怪我をした)『翌朝早い時間に電話が鳴ったんだ。彼がお昼前に電話をよこすことなんて絶対になかったから、トラブルだってピンときたよ。彼は典型的な夜型人間だったからね。僕が病院に連れて行ったら、約2か月のギプス生活を宣告されたんだよ』

リック・スカイ『フレディ・マーキュリー 華やかな孤独(改訂版)』 p.93

『ほとんど毎日のように彼のアパートに通い、抱えて車に乗せ、スタジオまで連れて行ったんだ。仕事を中断しようものなら、きっと気が狂ってただろうから、そんなこと提案しようとも思わなかったよ。そんな僕に彼は感謝していたと思う。とにかく忙しいのが大好きだったからね、彼は。というか、飽きっぽかったんだ。ギプスをはめてても、相変わらず冗談ばかり言っててね。ピアノを弾こうとしたらさすがに困難で、"このギプスのおかげでキーとペダルが同時に届かないよ。君ならどっちを弾いてもらいたい?"なんて言うんだ』

リック・スカイ『フレディ・マーキュリー 華やかな孤独(改訂版)』 p.93

この当時のギプスは今のような軽量の樹脂製ではなく石膏!

フレディはギプスの中を、マックの妻のイングリットから借りた編み針でポリポリ掻きながら仕事を続けた。



この怪我、唯一の楽しいエピソードとしてはエルトンとのやりとりがある。


怪我をしたての5月22日、フレディは親友エルトン・ジョンのミュンヘンのオリンピアホールで行われた公演を見にいく。後年、フィービーがASK PHOEBE#96に書き残してくれているので引用する。



On is from when Freddie had torn the ligaments in his knee in Munich and was in a plaster cast. Elton performed in the city and of course Freddie wanted to watch the show. Freddie and I were seated on the side of the stage enjoying ourselves when Elton stood up from the piano seat and said ‘This is for Melina, the poor cow’ and then proceeded to sing ‘I’m still standing’!

ひとつは、フレディがミュンヘンで膝の靭帯を切って石膏で固定していたときのことだ。エルトンがこの街で公演を行ったので、もちろんフレディはショーを見たいと言った。フレディと僕がステージ脇の席に座って楽しんでいると、エルトンがピアノ席から立ち上がり「これは哀れなくそったれ、メリナのために」と言って『I'm still standing』を歌い始めた。

Phoebe Blog 96 


エルトンのMCを聞いたフレディはぼそりと「あいつ、ぶっころしてやる。」と述べたそうだ。なんとも仲の良さが伝わってくる素晴らしいエピソードである。





そうこうして迎えた、1984年6月22日。『It's A Hard Life』のビデオ撮影。この撮影に合わせ、予定より少し早くフレディのギプスは外される。後にフィービーは、出来上がったビデオクリップの階段を降りる場面でフレディが足を庇っている様子が見て取れると述べている。



フレディ自身は、この怪我について多くを語らない。

唯一見つけだした証言は"Record Mirror"1984年8月25日号


Freddie's doing well considering he's in quite a lot of pain. He remains tight lipped about the full details but he injured his leg after an incident in a club. A physiotherapist has been pummelling at it nearly every day. "This c+++ kicked me," says Fred. "I'm hoping my knee will be ready in time for the tour, but it's still giving me a lot of trouble. It might mean I will have to cut down on some of my more elaborate gorgeous stage moves.”

フレディは、かなりの痛みを抱えているにもかかわらず、よく粘っている。本人は詳細について口を閉ざしていますが、クラブでの出来事で足を痛めてしまいました。理学療法士が毎日のように足を調整している。「C+++に蹴られたんだ」とフレッドは言う。「ツアーに間に合うように膝を治したいと思っているけど、まだ問題が山積みなんだ。凝ったゴージャスなステージングを減らさなければならないかもしれない。」

"Record Mirror" - 25th August 1984  


このようにして8月24日、ベルギー、ブリュッセル公演からWorks Tourは走り出した。


そして18公演目の9月22日ドイツ、ハノーバー公演で、フレディの膝は悲鳴をあげる。


終盤の『Hammer To Fall』でセットの階段で転倒したフレディは、テリーとフィービーに両脇を抱えられ、一旦ステージから下がる。ブライアンは公演を即時中止してフレディを病院へ連れて行かせたかったようだが、フレディの要望で『Bohemian Rhapsody』とアンコール楽曲で締めをした。前日までセットリストを確認するとおそらくカットされたのは4曲程。フレディは痛みに耐え、ピアノの椅子に腰掛け歌い切った。



終演後病院に直行したフレディはレントゲンなどをとったようだが大事には至らず(=骨折なし)ツアーは続けられた。この怪我により中止となった公演はなく、ハノーバー公演の2日後のベルリン公演ではセットの短縮も、固定もなくステージに立った。


すさまじいプロ根性。"Show Must Go On"なのである。


以上、窮地に立たされた時こそ本質が見える、右足靭帯損傷検索の旅でした!



 

参考資料


リック・スカイ『フレディ・マーキュリー 華やかな孤独(改訂版)』2001,2007 シンコー・ミュージック

 

参考サイト


Freddie Mercury.com : Phoebe Blog 96 http://www.freddiemercury.com/en/ask-phoebe/blog-96

Queenlive.ca : September 22, 1984 : Hanover, Germany


"Freddie Mercury's Munich Years: An Interview With Phoebe Freestone" https://www.udiscovermusic.com/stories/freddie-mercury-munich-phoebe-interview/

 
 
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